サムスン式仕事の流儀
こんにちは、大阪市中央区の上田公認会計士事務所の上田です。
桜の季節もいつしか過ぎ、葉桜の季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回はムン・ヒョンジン氏の『サムスン式仕事の流儀』をご紹介したいと思います。
かつて日本の企業が、そのシェアを独占していた世界の総合家電・電子製品業界のトップの座に、韓国の企業サムスンが君臨していることは皆様もご存じだと思います。
サムスンはグループ全体での売上高(2010年)で約20兆円の規模を誇り、韓国の国内総生産(GDP)の約22%を占めている大財閥です。
そして、巷では、『サムスンの社員は非常に優秀である』などとよく言われています。
この著書では、『サムスンの社員がなぜ優秀と言われるのか』を入社1年目から5年目に絞って、その社員が覚えるべき業務、スキルと合わせて具体的に書かれています。その中からいくつか興味深いものをご紹介します。
①報告書は自分の顔であり人格である。
皆様は報告書を書くように言われたとき、どのように書きますか?
多くの人は報告書を単なる『報告する文書』だと考えます。過去に起こった事実を整理して伝えるもの、それが報告書のすべてだと考える人が大部分であるといいます。
しかし、著者によると報告書とは、そんなに簡単なものではないのだと、特にサムスンでは、特別な教育プログラムが存在するほど報告書は重要視されているのです。
では、サムスンのいう優れた報告書とはどういうものなのでしょうか。
著者によると、報告書には『過去-現在-未来』の一貫したストーリーを作るべきなのだといいます。
『過去』とは、事実を伝えること、『現在』とは過去を踏まえて、今何をすべきか、問題点は何か、解決するには何をする必要があるかを伝えること。そして、もっとも重要なのは『未来』であり、今後の情勢変化や未来に起こりうること、そして会社の将来像と進むべき方向まで示すことが必要であるといいます。
著書には例として、報告書一つで、出世への道を進んだ人、高額の報酬でヘッドハンティングされた人について描かれており、それらからも報告書がその人物の仕事に対する姿勢や考え方、そして能力を示すものであることが伺えます。つまり、報告書は自分の顔であり人格であるのです。
②厳格なドレスコード
サムスンには厳格なドレスコードがあるといいます。
著者によると、家を出るときその辺にある服を適当に着てくる人と、きちんと着こなしを考えて仕事をスタートさせる人では、日常に対する姿勢そのものが違ってくるというのです。
確かにそれは納得させられます。全く同じ能力がある人間でも、皺のあるスーツの人とパリッとしたスーツの人とでは、やはり後者の人間を評価してしまいます。
個人イメージが企業イメージをどれだけ左右するかをサムスンは知っているのです。
そして驚くことに、サムスンはこの『着こなし』についての研修プログラムも存在するそうです。
顔は生まれつきのもので仕方なくても、服装は努力次第でいくらでも変えることができる。
そんな、言われなくてもわかっていること、当たり前のことを徹底的にやることが一流社員への第一歩だということなのです。
③仕事が早い人たちがやっていること
デスクの整理には頭の中の整理と同じ意味があるといいます。
仕事というのは常に一つのことをやっていればいいわけではありません。一度に3つや4つの仕事を任されることもあるし、上司からの急ぎの用もあります。
メモが増え、資料が散乱する。それが繰り返されると、急ぎの仕事はどれか。わけがわからなくなり、デスクの上をみるだけで焦ってしまうでしょう。
著書にでてくるA課長代理は毎朝、出社して30分間デスクの整理をします。それは『単純なものの整理』だけでなくデスクを整理しながらその日に必要な資料をファイル毎に整理するというのです。すると、仕事の途中に別の資料を探すことで時間を無駄にすることがなくなるのです。
人間が受け取る情報の90%は目から入ってくるものとされているといいます。ですから、目の前のデスクの整理がされているかどうかというのは、頭の中を散漫にしないための何よりの条件になるのです。サムスンでは特に『時間』というものにこだわっており、『まあ5分くらい』『30分くらい待ってくれるのでは』という甘えた考えはあってはならないのです。時間を制する者が、成果と利益を制するのです。
④人間的魅力が備わってこそプロ
皆様にとって仕事の『プロ』とはどういう人だと思われますか。辞書によると、プロとは、ある分野について、専門的知識・技術を有していること。または、そのことに対して厳しい姿勢で臨み、かつ、第三者がそれを認める行為を実行している人。とあります。
では、サムスンが考えるプロとはどういうものなのか。
サムスンにおける真の『プロ』とは、魅力的で好感が持てるソフトな人のことだといいます。
人間的な魅力と業務とはあまり関係がないと考える方もおられるかも知れません。しかし、これは出世をするためにも必要なスキルのひとつでもあります。チームの社員たちともうまくやりながら、ダイナミックに、楽しみながら仕事をやり遂げる人こそ、真のプロ意識を持った人だろうというのです。
著書に出てくる仕事とプライベートを分け隔てせず、人間的魅力で部下に接する上司の成功例は非常に納得させられます。
この著書を読むと、サムスンという会社がこの地位まで上りつめた理由の一旦を知ることができます。
皆様の中にも、なるほどと思い当たるものがあったのではないでしょうか。
私もまずは、デスクの整理から始めようと思います。
